北風ブログー741
2023/3/31更新
食欲−4
ダイエットで大事なことはこの「ニセの食欲」を抑えることです。では、「ニセの食欲」を抑えるのはどうすればいいのか?これが大きな課題です。
まず、空腹を感じたら、甘い飲み物(オレンジジュースやココアなど)を少しだけ飲むことです。その時に、バカ食いをしないことです。実は血糖値が下がると血糖値を上げるグルカゴンが増加してインスリンが減少しますが、これらが食欲を増加させます。この時に甘い飲み物を飲むと血糖値が上がるので食欲が自然と抑えられ、食べ過ぎも予防できます。ただし、少量(100mL)をゆっくり飲むことがポイントです。でも、往々にしてこの空腹をたくさん食べることにより解消しようとするのですが、急にたくさん食べても血糖が上がるまで15分はかかるので、その15分の間は食べ続けてしまうのです。「あーあ、食べ過ぎてしまいましたね、今日は」というのはまさしくその通りです。
2つ目は、ヘルシーなおやつを準備しておくことです。ナッツ類、ドライフルーツ、スルメといった、ヘルシーフードを常備しておきましょう。どれもを必要とする食べ物なので、小腹を満たすには最適です。満腹中枢も刺激され食欲が収まるでしょう。咀嚼すると満腹感を得ることができます。その観点からは、よく噛んで食べることが大切です。60歳を超えながら素晴らしいスタイルを維持している郷ひろみさんは、一口30回噛むようにしているそうです。
3つ目は、食べ終わったら余った食べ物をすぐに片づけることです。いつまでも食卓に食べ物が置いてあったり、何かをしながらダラダラ食べていてはだめです。目の前に食べ物が置いてあるとニセの食欲がでてきて、いつまでも食べ続けてしまいます。ぽっちゃり系の女性の食生活がよくテレビで放映されていますが、手が届くところに多くの食べ物が置かれていますよね。視覚に入らない所に片づけるか、生もので食べきれない場合は「もったいない!」と食べてしまわず、思いきって捨ててしまうのもダイエットを成功させる一つの手段だそうです。
4つ目は、食事後はすぐに歯みがきをすることです。
食後すぐに歯をみがくと口の中がすっきりするので、「もう何も口に入れたくない!」という気分になり、食欲がセーブできます。
5つ目は、睡眠をたっぷりとることです。睡眠はメラトニンが関与しますが、メラトニンが低下すると睡眠不足となりますが、このメラトニン減少が、レプチンを減少させるからです。さらに、前頭葉の機能が低下することで甘いものが無性に食べたくなり、糖代謝機能も約30%低下すると言われているので、たっぷり睡眠をとることもダイエットには必要です。
6つ目はストレスです。ストレスはコルチゾールが増加させますが、コルチゾールが増えるとセロトニンの産生が抑制されてしまいます。このセロトニンは食欲を抑えるのですが、これが減少しますから、食欲が増大します。セロトニンは、幸福ホルモンと言われておりますので、不幸になるとセロトニンが低下して太るそうです。
7つ目は、毎日体重計に乗ることが大切です。体重計に乗ると「あれ、昨日に比べて1㎏増えている。これはまずい」と思いますので、知らず知らずに行動変容を起こさせるからです。
8つ目は、運動することです。運動をしたあとは、食欲ホルモンのグレリンが減少して、食欲を抑制するペプチドYYが増加することが示されております。このペプチド YY(Peptide YY:PYY)とは、グルカゴン様ペプチド1(glucagon-like peptide 1:GLP-1)と共に分泌され、摂食に応答して回腸や結腸の細胞から放出される36個のアミノ酸からなる短いペプチドです。 血中や消化管中のペプチド YY は、食欲を低下させる作用があります。また、運動により気分や自尊心が高まったことで、「ちゃんとした食事をとろう、ミールプランに沿った食事をしよう」という気持ちになることが考えられます。
これまで食欲低下剤、肥満抑制剤の開発をいろいろな製薬メーカーが目指しましたがどれもなかなかうまくいきませんでした。これは、薬により食欲の一つのメカニズムが抑制されても、十分に食欲を抑えきれないことを示します。ダイエットは、永遠の課題です。