北風ブログー742
2023/4/7更新
食欲−4
最近の私の外来では、一定の方々にダイエットについて通常とは真逆の指導をしております。
「〇〇さん、あなたは多少コレストロールが上がってもいいです。タンパク質を十分に取ってください。多少、尿酸値が上がってもいいですから、お肉をたくさん食べてください。少し血糖値が上がってもいいですから、十分に炭水化物をお取りください。多少塩分が多くても、お寿司を食べてください、魚をたくさん取ってください。体重を減らすようなダイエットはやめてください。」です。何でも食べなさいという指導です。
どのような方にそのような指導をするかと言いますと、80歳を超えたフレイルのある方です。というのも日本人の死因の第3位に「老衰」が入ってきたのが大きな理由です。老衰は、がん、心臓病に続いて日本人の死因第3位であるだけでなく、その増加率がとんでもないことだからです。この老衰の大きな原因は「フレイル」です。フレイルは、病気ではないですが、「虚弱」となっている状態で、筋肉の衰えを示します。筋肉をつけることが大切で、筋肉が食事と運動です。
筋肉は、たんぱく質ですからタンパク質だけたくさん取って、コレステロールや脂肪を取らなければいいじゃないか、ということですが、それは大変むつかしいです。ダイエットすると確かに皮下脂肪や内臓脂肪も減るのですが、筋肉量も減ることが知られています。それならば、今からコレステロールを下げて30年後の110歳で起こるかもしれない心筋梗塞に備えるより、90歳で起こる老衰を抑制してあげたほうがいいのです。 皆さん、80歳を超えたらダイエットの必要がないというのは、うれしいですが、問題は今の食欲をどうコントロールするかですよね!