北風ブログー747
2023/5/12更新
AI
前々回のブログに書きましたように、AIが世の中を塗り替えようとしております。私たちの関係する医学はまだまだですが、経済を含め多くの分野で活用されつつあります。そのエポックメーキングなのがチャットGPTです。
AIの前提となるのは、多くの書類の電子化、郵便やFAXに頼らないインターネットによるアクセス、皆が賛同していろいろなデータをインタ―ネット空間にアップする行為、すべてのニュースの電子化、科学研究的な成果、論文の成果、これらがすべてインターネットというフラットな空間で存在することです。これをAIで整理したのがチャットGPTです。
チャットGPTとは、高度なAI技術によって、人間のように自然な会話ができるAIチャットサービスです。2022年11月に公開され、たちまち無料で利用できる革新的なサービスとして注目を集め、生成した文章の見事さや人間味のある回答がSNSなどで大きな話題となりました。この前のブログで書いた私あいさつ文などをAIが作ってくれるのですよ。
このチャットGPTは今世の中を急速に変えようとしており、G7外相サミットではチャットGPTの利用について慎重な意見が相次いでいるそうです。いつも日本はすべてのことに慎重ですが、チャットGPTに関してはとても前向きな姿勢だそうです。日本のためにいいことだと思いますが、海外の方々が慎重な理由も横目で見ておく必要がありますね。特にしてはいけないことと、してもいいことをはっきりさせることが大切です。法規制まで行くと少しやりすぎのように思いますが、何らかの規制は必要ですね。
インターネット上には、正確なノレッジだけでなく、不正確なものもたくさんあふれており、それらを結びつけるととんでもないfakeものが出来上がる可能性がありますし、逆に正確なものを結びつけるととてつもなく素晴らしい知識の泉が出来上がります。
でもなぜ、今になって急にAIが世界を一変しようとしているのでしょうか? AIの基礎となるのは数学です。でも、それは私たちが中学、高校、大学の一般教養で習った微分方程式、三角関数、偏微分などの古典的な数学ではなく、ファジーな部分を取り込んで、数学を考えるようになりました。ある意味の数学の利用でしょうか? たとえば、人間の判断自体や人間が感じる心地よさには、揺らぎが必要だということがわかってきました。これを数学的に解決しようとするのがある意味のAIです。でも、数学自体が揺らぐわけでなく、揺らぎを取り込んだ数学を人間が構成し始めたのです。たとえば、今では当たり前になったインバータエアコンは、それまでのエアコンと違い、部屋の温度を感知して、さらにどのような冷風を送れば部屋の中が均一に冷えるのか、AIが判断しています。
数学はさらに発展していきます。ニューラルネットネットワーク、機械学習、深層学習、などがそのいい例です。ニューラルネットネットワークは大脳の思考回路をコンピュータで形成しようとするものですし、機械学習や深層学習は、あるものを判断する具体的な方法論を数学で解こうとするものです。仮に自分が車に乗っていて、自分の周りにある物の動くスピードと距離から、その物が対向車なのか、郵便ポストなのか、歩行者なのか判断するというのは、機械学習により可能となります。数学で判断をさせるということです。
現在のAIブームを受けて、いままでないがしろにされていた数学者が急に脚光を浴びて、高給で企業に迎えられているそうです。中学、高校で数学が大得意で、理学部数学科にいった方は、一握りしかなれない大学教授か、大多数は高校の先生にしかなれなかったのですが、いまは一流企業から引っ張りだこです。4~5年前に聞いた話ですがグーグルには数学者が何十人と高給で雇用されていてグーグルの検索や画面検索機能を作ってきているのです。数年前に碁のアルゴリズムの論文が超一流紙であるNatureという雑誌に出ていましたが、その著者の所属はGOOGLEだったのを見て驚いた記憶があります。道を歩いていて美しい野花を見つけた時、何の名前かわからなかったらGOOGLE PICTUREで写真をとれば、2~3秒でそれが何の花か教えてくれます。これはまさしくAIであり、機械学習の成果なのです。
AIを支えているのは、数学だけではなくその演習の場であるビッグデータが必要となります。GOOGLE PICTUREは、すべての花のデータと名前が取り込まれているビッグデータがあり、その写された花の写真がビッグデータの花の写真のどれと最も類似しているかを検索するのです。ビッグデータの拾得が可能になったのは、コンピュータの発展が大きいですね。富岳のようなスーパーコンピュータでなくても、数百万円でサーバーを購入すれば、かなり大きな解析が可能となります。さらに、多くのデータは、デジタルとしてコンピュータに格納することができるようになりました。医学で言えば、紙カルテなら集計が大変ですが、電子カルテならコンピュータが一瞬で処理可能です。
つまり、チャットGPTの出現は、インターネットにこれまで人類が蓄積してきた多くのことを蓄積できてきたこと、数学が発展したこと、この2つの出来事の飽和点が交差した現代にこそ可能だったのです。