北風ブログー759
2023/8/4更新
ビッグモーター(BIG MOTOR)ー2
このビッグモーターの事件について2つ考えることがあります。まず、第一は資本主義=お金儲け主義の是非です。ビッグモーター事件の側面の一つが過剰なお金儲け主義です。悪いことをしてもお金儲けをしようという間違いを犯したということです。当然のことですが、私たちは、資本主義経済の中で生きております。国が産業や資本をコントロールする共産主義がうまくいきません。共産主義国の代表でしたソ連(現ロシア)や中国でさえも資本主義を登用しているわけですから、やはり、お金儲けというニンジンをぶら下げないと個人個人は頑張らないということです。資本主義とは、国政によるのではなく、営利目的の個人的所有者たちによって貿易と産業が制御(コントロール)されている、経済的・政治的システムのことを言います。
資本主義は、成長し続けることが大前提です。それは、人間の欲望は膨らむ一方だからです。お金持ちは、もっとお金を欲しいと思いますし、お金持ちでない方は少しでもたくさんお金を儲け、すこしでもお金持ちになりたいのです。その結果、国民総生産であるGDPが下がればその一年はダメで、GDPが上がればこの一年よく頑張ったね、と国民が評価されます。つまり、われわれには成長することが呪縛のように付きまとうのです。なぜか? その背景には、GDPが上がれば幸福になるという思い込みがあるからです。資本主義では「幸福=収益=お金儲け=楽しい生活」というチェーンリアクションが働くからです。
このGDPに対応するのがGNH(Gross National Happiness、国民総幸福量)で、(1972年に第4代ブータン国王ジグミ・シンゲ・ワンチュクが、「国民総幸福量GNH)は国民総生産(GNP)よりも重要である」として提唱した考え方で、 持続可能な発展において、進歩について考慮する際は、全体的なアプローチを取り、幸福の非経済的な側面も重視するべきだというのです。南アジアにあるブータンは世界で一番幸せな国として知られています。実はブータンは世界一ではなく、発展途上国ながら2013年には北欧諸国に続いて世界8位となり、そのアンバランスから“世界一幸せな国”として広く知られるようになったのです。国民が皆一様に「雨風をしのげる家があり、食べるものがあり、家族がいるから幸せだ」と答える姿が報じられたのを覚えている人もおられると思います。お金のほか、住まいや食べ物など、200以上の項目について調査してきた結果、ブータンではこれらのあらゆる項目がバランスよく幸福度に貢献していたそうです。GNHによるとやすらぎ(健康、安心)、つながり(人間関係)、達成感(お金、仕事)、この3つがバランスよくそろっていることが幸福だというわけです。
ところが、ところが、ところが、ブータンは2019年度版で156カ国中95位、さらにそれ以降このランキングには登場していないそうです。実は、かつてブータンの幸福度が高かったのは、情報鎖国によって他国の情報が入ってこなかったからで、SNSから他国の情報が流入し、他国と比較できるようになったことで、隣の芝生が青く見えるようになり、順位が大きく下がったようです。
ちなみに日本は、2023年は47位で昨年の54位からは改善したそうですが、主要7カ国(G7)では最下位です。日本の幸福度が低いのは、他人と比べたがる気質が関係しているようで、精神医学においても、他人と比較する人は幸せになれないことがわかっているそうです。欧米人は、他人と自分を比較したがらない。横並びを嫌い、収入、学歴、容姿、ファッションなど、さまざまな要素で他人と違うことを好みますので、基本的に日本人の行動パターンとは異なります。
もう一つ考えたことは、次回お話しいたします。