北風ブログー767
2023/9/29更新
病気―11
でもこれだけ考察しても、人類の中で左利きの人が少ない理由には届きませんでした。でも、欧米では右を大切に、日本では左を大切にしていることがよくわかりました。しかしながら洋の東西を問わず世のなかは「右利き中心」に構成されており、少数派の「左利き」にとっては不便なことがたくさんあります。例えば、
・日用品……はさみ、包丁、缶切り
・機械……パソコンのキーボード配列、自動改札機
・楽器……ギター、ベース
・スポーツ……グローブ、ゴルフクラブ
などは「右利き仕様」が当たり前。左利きグッズの普及は不完全なので、左利きでも右利きグッズを無理やり使わなくてはなりません。軍のライフルや警察の銃なども基本は「右利き仕様」で、国によっては左利きの人も右手で操作するよう訓練されるというから驚きです。
ゴルフは、左利きの方が右利き用のゴルフセットで右利きとしてプレーしたほうが、左手の力をうまく伝えて有利だということがまことしやかに言われていますが、それなら右利きの方が左用のゴルフセット(少ないながらも市販させています)で左利きとしてプレーすればいいはずですが、そのような方は一人もいませんよね。確かに、私も缶切りを左手で持つと普通の反対周りに回して缶を空けますし、自動改札機も左手で交通系ICカードを持ちますからクロスして自動読み取り機にタッチしなくてはいけません。私は、鉛筆とお箸、ナイフとフォーク以外はほとんど左手が主体です。医学生の時の解剖もそういえばメスは左手で持っていました。でも、動物実験で細かいOPEをするときは手術の部位によって左手でしたほうがいいときも右手でしたほうがいいときもあり、そのようなときは自由自在にメスを持つ手を変えていましたね。OPEは両手使いでした。
でも、一般的に左利きの方のほうが日常生活を過ごすためのストレスが多いため、より短命というデータもあります。興味あることに「右利き仕様」に対する日常的なストレスが寿命に影響したり、右利きグッズの使用がケガや事故の原因になったりすることに着目した研究があります。カナダやアメリカ、イギリスなどの科学者たちは、1)南カリフォルニアの住人、2)イギリスの伝統的スポーツ「クリケット」の歴代の選手(利き手データのある人)、3)アメリカ海軍で重大な事故にあった人を調査し統計をとった結果、平均寿命は右利きの75歳に対し、左利きは66歳と約9年も短命でケガや事故の割合が高いと発表し大きな反響を呼びました。ただし、あくまで統計上のデータであり、科学的に「これ!」といった決め手はありません。左利きの割合を性別でみると、「女性」より「男性」のほうがが多いため、短命説が登場したとの説もありますので、いろいろな因子が交絡している可能性がありますね。
以上より、左利きの方は、生活しにくいのは確かですが、左利き=短命とは言い切れません。でも、私も含めて左利きの方は十分に気をつけて生活すべきですね。