北風ブログー766

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2023/9/22更新

病気―10

ところが、日本では、「左」のほうが右より神聖とされています。神社の鳥居のくぐり方の作法として、中央より左を通るべきで左足から踏み出すべきというものがあります。左が神聖なのは日本神話から由来しており、イザナギノミコトが左目を洗った時に、日本で最高神とされている天照大神が生まれたとされているからです。そうです、伊勢神宮の神様です。左の語源にはいくつか説が有るようですが、有力なのは、日照り説です。左と日照り、似ていますよね。


日本では、左大臣のほうが右大臣より上位ですし日本の伝統では左上右下(さじょううげ)つまり「左が上位、右が下位」となっています。この考え方は中国から伝わったものです。中国の唐の時代に、「天帝は北辰に座して南面す」という思想がありました。北辰とは、北極星のことを指します。「皇帝は北極星を背にして南に向かって座るのが善い」というこの思想によれば、太陽は皇帝から見ますと、左に当たる東から昇って右に当たる西に沈みます。日が昇る左のほうが日が沈む西よりも尊い、この考えから「左上右下」という考え方が生まれたようです。中国から「左上右下」の考え方が伝わったのは飛鳥時代のことでした。中国では左と右のどちらを上位とするかについては時代の流れによって、または王朝が変わったときなどに何度か入れ替わりましたが、日本では飛鳥時代に遣唐使などを通じて伝えられた「左上右下」の考え方が、現在もなお受け継がれています。


ところで、何かの分野でその人より優れた人はいない、というときに「右に並ぶものはない」という言い方をします。この言葉は「左上右下」の考え方から生まれたものです。左上位なのに「右に並ぶものはない」と言うのは不思議な気がしませんか?これは、王に対する家来から見て右と言う意味です。「左上右下」の考え方によれば、最も偉い人が一番左に来ます。つまり、見ている側からは、一番偉い人の右には誰もいないというわけです。


ここまでの考察では、左利きが少ない理由には届きませんでした。でも、欧米では右を大切に、日本では左を大切にしていることがよくわかりました。世のなかは「右利き中心」に構成されており、少数派の「左利き」にとっては不便がたくさんあります。例えば、


・日用品……はさみ、包丁、缶切り ・機械……パソコンのキーボード配列、自動改札機


・楽器……ギター、ベース


・スポーツ……グローブ、ゴルフクラブ


などは「右利き仕様」が当たり前。左利きグッズの普及は不完全なので、左利きでも右利きグッズを無理やり使わなくてはなりません。軍のライフルや警察の銃なども基本は「右利き仕様」で、国によっては左利きの人も右手で操作するよう訓練されるというから驚きです。このように、左利きの方のほうが日常生活を過ごすためのストレスが多いため、短命というデータもあります。


このような「右利き仕様」に対する日常的なストレスが寿命に影響したり、右利きグッズの使用がケガや事故の原因になったりすることに着目した研究があります。カナダやアメリカ、イギリスなどの科学者たちは、1)南カリフォルニアの住人、2)イギリスの伝統的スポーツ「クリケット」の歴代の選手(利き手データのある人)、3)アメリカ海軍で重大な事故にあった人を調査し統計をとった結果、平均寿命は右利きの75歳に対し、左利きは66歳と約9年も短命でケガや事故の割合が高いと発表し大きな反響を呼びました。


ただし、あくまで統計上のデータであり、科学的に「これ!」といった決め手はありません。左利きの割合を性別でみると、「女性」より「男性」のほうがが多いため、短命説が登場したとの説もありますので、いろいろな因子が行楽している可能性がありますね。


左利きの方は、生活しにくいのは確かですが、左利き=短命とは言い切れません。でも、私も含めて左利きの方は十分に気をつけて生活すべきですね。






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