北風ブログー764
2023/9/8更新
病気―8
それではなぜ左利きの方が生まれるのでしょうか? いやいやそうではなくて、左利きと右利きの方が確率的に同等に発症するなら、左利き・右利きの方の生まれる確率は50%になるはずなのに、なぜ左利きの方が圧倒的に少ないのでしょうか? 日本人全体でみると、左利きの割合はおよそ10人に1人です。つまり、日本人の大半の人が右利きです。
はるか昔、原始時代より人類の9割は右利きで、左利きは1割だと言われています。なぜ左利きの方が少ないのかについて、チャットGTPに聞いてみました。チャットGTPとは、コンピュータが過去にオープンになっている知識で与えられた質問や要求に応えてくれるものですよね。で、答えは、
① 遺伝的要因:遺伝子が左利きや右利きを決定する可能性があります。右利きの遺伝子が優勢であるため、左利きの割合が低くなることが考えられます。ただし、遺伝的な要因だけでは説明が難しい側面もあります。
② 脳の構造:脳の左右の半球が異なる役割を果たすことが知られています。一般的には、言語処理などが左脳で行われるため、右利きが優勢とされています。この脳の構造による影響も左利きの少なさに関与しているかもしれません。
③ 社会的要因:過去においては、左利きが特異な存在とされ、社会的に圧力を感じることがあった可能性があります。一部の文化や時代では左利きを不運や不吉なものとみなす考え方があったため、左利きの人が右利きを模倣することもあったかもしれません。
④ 環境要因:胎児の発達段階や環境要因が、左利きや右利きに影響する可能性があります。胎児の脳の発達や神経結線が特定の時期に影響を受け、左利きの割合が変動するかもしれません。
たしかに、心臓はどちらかというと胸の左のほうにありますが、生まれつき右のほうに心臓がある方がおられて「右胸心」という名前がついております。もちろん、病気ではないので、普通のように生きていけますが、生まれつきということは何かが心臓を左のほうへの位置決めをしており、それは遺伝子だろうと誰もが考えるわけです。左と右が平等であるなら、右胸心の方が半分を占めるはずなのですが、循環器専門にしている私の40年の医者人生でも、2人しか遭遇したことがありません。
②についても、人間の脳は左右対称ではなくその機能は脳の場所によって異なります。とくに、言語中枢は通常の右利きの方は左脳にあり、左利きの方は主に右脳にあります。ですので、右利きの方は左の脳に脳梗塞などのダメージが生じるとうまくしゃべれなくなる失語症となりますが、言語中枢が右にありさらに左右の脳をうまく使いながら言語を形成している左利きの方は、脳にダメージを受けても言語能力への影響を受けにくいと言われています。つまり、左右の脳をつかう左利きの方は、言語処理能力が右利きに方に比べて少し遅いので、より複雑な道具を作る中で、言語と論理に結びつく右手が利き腕として発達して、左利きの方が淘汰されていったのではないかと考えられます。このほかにも、心臓を守るために右手で剣を持ち左手で盾を持って戦っていたという攻撃・防御説や、右利きが多くなるにつれて右利き用の道具が増えたことで、自然に左利きが少なくなったという環境説などもあります。
社会の中で左を下位に定義しているということ関係するかもしれません。これについては、次回に触れてみたいと思います。