北風ブログー763
2023/9/1更新
病気―7
私、その神様のつけてくれた印のため、左右を認識するときには今でも一瞬手首を見てしまいます。つまり、左右の認識能を外的刺激に頼ってしまうようになってしまっているのです。普通の人は、幼少時に左と右を覚える手段として、多くの親が「箸を持つ手が右」と教えることが多いそうで、左右の認識をお箸と茶碗の持ち方を“頭の中”で想像して、そのうちに頭の中で想像しなくても左右が認識できるようになっていきます。私はその能力が神様の印のために劣っているように思えます。それは、たまに次のような場面に遭遇するからです。タクシーに乗っていて、本当は「次の信号を左折してください」と私が運転手さんに言わなくてはいけないときに、手は左を指し示しながら、「次の信号を右へ」と言い間違えそうになることがあります。これは、医学的に「左右失認」という状態です。
英語では「left-right confusion」とも言われる「左右盲」は、病気でも発達障害でもないのに右と左を感覚的に理解できないハンデを持つことです。でも、左右盲は明らかな病気ではないため、あまり科学的な研究対象とはなっておらず原因も解明されていません。一般的に「左右」は「上下」「前後」と比べて感覚的に理解しにくいそうです。「上下」は頭の方向が「上」、視界が開けている方向が「前」など、前後上下に関しては判断する基準が存在するのですが、左右にはそれがないため、左右の認識がむつかしいそうです。当然ですよね、人間は左右対称なので、左右がわかりにくいですよね。
どのような人が「左右盲」になりやすいかというと、左利きの方です。先ほど触れましたように、幼少時に左と右を覚える手段として、多くの親が「箸を持つ手が右」と教えることが多いのですが、左利きの子供は、自然に左手に箸を持つのですが、「箸を持つ手が右」と教わってしまうと、この「左」を「右」だと認識してしまい、左右を混同してしまうそうです。
また、幼少時に利き手を矯正した人は比較的左右盲になりやすいのです。生まれつき左利きだったが箸や鉛筆を持つ手だけ右手に矯正された場合、大人になると動作によって利き手を使い分ける「クロスドミナンス」になりやすいということが知られております。不完全な矯正は右と左を曖昧にし、二つの区別がつきにくくなってしまうそうです。
また、統計的には生まれつき左利きの人と女性が左右盲になりやすいそうです。一般的に女性は男性よりも空間認識が苦手な傾向にあるのですが、その科学的根拠はありませんね、
一般の方で、左右盲が問題となるのは、車の運転です。でも、道を間違えるならまだしも、より深刻なのは医療関係者の「左右盲」が原因で医療事故に発展する場合です。最悪なのは左右を取り違えて手術を施してしまうケースです。右の腎臓を摘出すべきところ、または左脚を切断すべきところを間違えてしまった医療事故をたまに聞きます。医師が患者と向き合った時に鏡合わせとなるために左右が逆転することも混乱の一因です。「患者さんの左足」といったとき、患者さんに相対して、自分の右側にある患者さんの足が左なのでこんがらがりますよね。
自分を「左右盲」と自覚している人は、右か左の決まった腕に時計をはめたり、いつも同じ手で鞄を持ったりすると多少混乱を防げるようです。私には、神様の印があるので大丈夫なのですが、年をとると日焼けのためケロイドがわかりにくくなりつつあり、他の印を探さないといけないなと思っているところです。