北風ブログー809

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2024/7/19更新

病気―47

プラセボ・ノセボ効果の続きです。子宮頚がんワクチンという予防接種があります。ワクチン療法でコロナのようなウイルスや細菌の感染症が予防できるというのは常識ですが、がん予防が可能というのはとても興味深いです。これは、子宮頚がんがパピローマウイルスの感染が原因の一つであるということがわかってきたからです。昔からバーキットリンパ腫のような特殊な悪性腫瘍はウイルスが原因であることが知られていましたが、子宮頚がんのような一般的ながんもウイルスが原因であったとは驚きです。そういえば、胃潰瘍や胃がんの原因にヘリコバクターピロリという細菌が原因と分かり、抗生物質による除菌により胃潰瘍や胃がんに予防が可能となってきております。新型コロナも含めて、抗菌剤や抗生物質、種々のワクチンに痛めつけられた「微生物の逆襲」ですね。


この、子宮頚がんですが、一時は国の指導もあり、各行政機関が積極的にワクチン接種を推進してきました。しかし、一部の方に予想外の副反応(ワクチンの場合は副作用とは呼びません)が報告されたために、行政は接種を促す動きを抑えています。この時、この子宮筋腫のワクチンについての副反応に『Nocebo effects can make you feel pain』という論文が一流紙に掲載されました。この論文ではインフォームド・コンセントの中で説明されたマイナスな情報がノセボ効果と強い結びつきがあると指摘しています。予防接種の受診票には細々とした注意とともに、あり得る、あるいは今まで報告された予防接種のマイナス面も記されていることが多いですし、予防接種を受ける際に個々人がネットで副作用・副反応を調べると、確率的にはかなり低いものでも目を引く症状が見つかるはずです。それが、ノセボ効果を引き起こしている可能性もあります。人間というのは、心理と身体が結びついているので、複雑系ですね。


話をMさんに戻します。このMさん、さらに2週間後、診察時間を一番最後にしてほしいとの要望でお昼ごろの診察になっていましたが、そのときの血圧が130/80mmHgとさらに低下していました。実はその時から「先生、いつも忙しそうにしてますね。お昼ご飯食べている暇ないでしょ。私、病院に来る前に阪神百貨店でお寿司を買っていたので食べてくださいね」と診察室に阪神百貨店の袋を私の診察机の上においていかれたのです。これで、なぜご自分の診察時間を最後にしてほしいと希望したわけがわかりました。阪神百貨店の開店が10時なので、そこに寄ってから病院に来るとお昼ぐらいになるからでした。「食事の後にどうぞ」とおはぎも付いていました。


この、昼食デリバリーサービス、フルイトランのプラセボ効果の賜物です!












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